102_フィルターをNanoVNAで測ってみる
自作・実験工程のメモとして
Dec.2025
最終更新日:2025/12/11 CF-50MRの特性を改善する処置をしました。
以前からアマチュア無線のトランシーバーの出力に、ローパスフィルター(以下、LPF)・コモンモードフィルター(以下、CMF)を経由してアンテナへ接続して利用してきました。
自作した受信用(小電力)のバンドパスフィルターはSMAコネクターを使っており、そのまま手軽に測定できていましたが、送信用途の品は入手した当時に特性を測定する機器は持っていなくてそのカタログ性能を信じて使うしかなく、木板に固定して有る状態から外すのが億劫になっていました。
最近、手持ち品の片付けを本格的に始めて、そのフィルターの処分を考えた時、どのような性能のフィルターだったのかが気になり、手持ちの NanoVNA-H4(以下、NanoVNA)とパソコン(以下、PC)を使って測定してみることにしました。
ここでの掲載はNet上の情報を頼りに測定をしましたが、間違った解釈や必要な条件を満たしていない場合が有ります。
誤差や間違いが有るという事を前提にご覧いただければ幸いです。
1.一番上は、自作CMF で当時の製作記録に「ワールドワイド社のFT−240#43(FT-240#43)材相当のフェライトコアに3D−2V」と記述が有り、13回巻き(W1JR)でつくりました。
2.中ほどは、中古品で入手した SHINWAの(1005)HF用LPF です。
3.一番下は、同じく中古品として入手した ALPHA(京都)社製のCMF です。
2009年10月の当時の記録「RF Filter の製作」
Edit by bluegriffon 3.1
1.SHINWAの(1005)HF用LPF の特性
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最初は手っ取り早く測定できそうなローパスフィルターに手を付けることにしました。
当時対象とした無線機は IC-7600M で、アンテナ端子が2つあったことから、30MHzまでの利用と、50MHzを別系統として使い分けていました。
ANT1端子は当時使用していた AH-3 に対応していた関係で本品を入れ 自作CMF と一組にして使用していました。
約15年ほどそのまま使用しましたが、使用頻度も少なく最大出力50Wという使用電力も有ってか、トラブルもなく使用できていました。
■.SHINWAの(1005)HF用LPF の外観

・当時、中古で入手したと思います。
■.1MHz〜101MHzの Log Mag S21特性

・初めて特性を見ましたが、古いものでもシッカリした特性だったようです。
■.1MHz〜501MHzの Log Mag S21特性

1.280MHz辺りから特性が劣化?していますが、素人測定でフィルターだけの特性なのかは不明です。
2.30MHzの9倍まではシッカリ減衰できているようです。
コモンモードフィルターの特性測定をどのようにするかは、Netの情報を検索して調べました。
その検索ページの上位にNanoVNAを使用した方法を紹介されているHPや、DUTとしての結線方法を示しているTDK社のHP等が参考になりました。
そこには、CMF両端のHot-Coldをショートすると有りましたので、その準備をして取り掛かります。
■.CMF両端をそれぞれショートしてSMAーJの芯線に接続する治具
・適当なコネクター付きの同軸ケーブルを切断し、見よう見まねで作ってみました。
■.CMF測定のための接続例
1.測定のためのL型SMAケーブルはNanoVNAのPORT1・2とも30cmの物を使用しています。
2.NanoVNAのアース側はSMA-JのGNDタブを両端ワニぐちクリップのアース線で結びました。
3.アース線は、測定結果への影響は少ないように感じました。
■.PCとの接続USBケーブルにパッチンコアを挿入
1.USBケーブルの影響が少しあるようで、NanoVNA側の近くにコアを挿入しておきます。
2.それと、測定器側と被試験物(DUT)側は金属性の机や人体からできるだけ離した方が良いようです。
3.このコアはコモンモードの測定には影響が有りますが、LPFの測定では影響は少ないようです。
| 3.自作CMF 「 FT-240#43, 3D-2V, 13回巻き(W1JR) 」 |
当時、大進無線のHPを参照して組みましたが、特にトラブルが発生していたわけでも無いため、多分HF帯には効果が有るだろうと予防処置として考えていました。
タカチのSS−160ケースに収めていたことで中身は製作当時に近い状態かもし知れません。
前項の測定の準備と前後して測定を進めていきました。

・上側の蓋となる部分に4か所の穴を開け木ネジで固定して使っていました。
■.1MHz〜101MHzの Log Mag S21特性(NanoVNAのUSBケーブルにパッチンコアを挿入する前)

・本グラフは28MHz辺りでグラフが上向いていますが、Dipするようなことも有りました。
■.1MHz〜101MHzの Log Mag S21特性(NanoVNAのUSBケーブルにパッチンコアを挿入した後。以下、記述は省略)

・HF帯だけでなく50MHzでも使えるかもしれません。
■.1MHz〜501MHzの Log Mag S21特性
・FT−240#43材の特性なのか、50MHz以上での効果は少ないようです。
対応周波数帯が1.8NHz〜54MHzと有り、2009年当時は迷わず50MHz用のCMFとして使っていました。
当時既に20?年ぐらい前の品と認識していたような古い品ですが、トラブル等発生することなく約15年に亘って無事使用することができていました。

概略住所に「京都市伏見区深草」と有りますが当時のことをご存じの方がいらっしゃるでしょうか。
■.1MHz〜101MHzの Log Mag S21特性

・このグラフを見た時「
はッ!」としてしまいました。
最初は測定方法を間違っているかなと思いましたが、ほかのCMFではそれなりの特性が出ます。
■.1MHz〜501MHzの Log Mag S21特性

1.500MHzまでのどの部分を見ても、フィルターらしい特性は見られないようです。
2.これではオークション等で再利用先を探すのは無理で、廃棄とします。(後でバラシて見ます)
■.1MHz〜501MHzの Log Mag S21特性(不良個所らしい部分を修正したが変化なし)
1.コネクター部を外している時に、「ハンダが外れた」のでこれが原因かと期待しましたが、修正後も大きな変化は有りませんでした。
2.中を覗き込むとカットコアに同軸を2回通したものが3段ぐらい入っており、巻数(合計6回??)からしてこのような特性だったのかも知れません。
3.元の特性もわからず、これ以上の追及はあきらめて廃棄とします。
本品は測定するつもりはなく、しばらく残しておくつもりでしたが、前項(4)のように期待値の特性が出ないことが有ることが分かり、取り外して測定してみることにしました。

これは2009年当時に新品で購入したもので、すぐに定位置に固定して使用していました。
■.1MHz〜101MHzの Log Mag S21特性

・1~100MHzまでの特性では、それなりに機能している状況と思えました。
■.1MHz〜501MHzの Log Mag S21特性

1.つぎに500MHzまでの特性を見ると100MHz辺りから減衰量が悪化しています。
2.コメットの取説によると、減衰量は72〜250Hzまで-60dB以上と有ります。
3.測定方法が悪いのか、経年劣化なのか、はたまた初期特性が悪かったのか分からなくなりました。
4.比較できそうなものとしては、第1項の「SHINWAの(1005)HF用LPF」だけなので、判断がつきません。
このままでは終われないので、片付けをしている時に本末転倒ではありますが、ローパスフィルターを追加で入手してみることにします。
ここからは、下の第6項を実施した後での実験になります。
■.CF-50MR の中を確認してアルミホイルを被せてみました
1.CF-50MR の中を開けると、上ふたの取付ネジが塗装によってシャーシ部分と導通が取れていないようでした。
2.そこで台所のアルミホイルを取り出して被せてみると、それだけでも特性に変化が有ります。
3.アルミホイルを被せたまま上ふたを被せると次のような波形になり、改善が見られました。
■.1MHz〜501MHzの Log Mag S21特性(アルミホイルを被せて上ふたを載せた時)
1.コメットの取扱説明書に有る減衰量の特性とほぼ同じで、一応満足できる状態になりました。
2.このままアルミホイルを被せたままでは見栄が悪いので、安定的な処置を考えてみます。
3.一時は、使い物にならないのではと考えましたが、解決策の糸口が見つかり一安心です。
■.コメットの取扱説明書(CF-50MR)より抜粋
追記:2025/12/11 CF-50MRの特性を改善
■.上記アルミホイル被せと同じ効果が出るように、CF-50MRの上蓋接触面の塗装剥がしを実施
1.Net上で色々探し、非塩素系という事で「アサヒペン 強力 塗料はがし液」を使ってみました。
2.最初は上蓋から試し、塗装がはがれることを確認できたので本体部も同様に塗っていきました。
3.写真は省略していますが、塗装の厚い本体部の方が塗料が浮いてくるのがはっきり分かりました。
4.養生はマスキングテープでは無く、強力な布テープ(一般に言うガムテープ)を使っています。
■.接触面全体に亘って剥がし終えたところ
1.一度で剥がれないところは、塗り重ねてそれなりに剥がし終えました。
2.最初は、ネジ穴が3か所直線に並んだ面だけで試しましたが効果が出ず、接触面全部を剥がしています。
3.塗装の剥がしには、金属へら等は使用せず、割りばしで欠きだしました。
4.塗装を剥がした後は、上蓋は水洗い・本体は濡らした雑巾で剥離液を除去しました。
■.接触面全体に亘って剥がし終えた後の特性
1.処置後は仕様の特性に近い「72〜250MHzにて60dB以上の減衰量」をほぼ満足できるようになりました。
2.剥離面をできるだけ傷つけないよう塗装剥がしに溶剤を使いましたが、しばらくは剥離面と近接する塗装面における化学変化の観察と、特性の再測定をしたいと思います。
| 6.RF Inquiry 社製の LP3K LPF の特性 |
前項(5)で期待外れの特性が出てしまい、ローパスフィルターを追加で入手してみることにします。
安価でそれなりの性能が期待できそうな品をオークションで探して、たまたまそれらしい品の「RFインクワイアリー (RF Inquiry) 社製 LP3K」に入札し2台とも落札できてしまいました。

1.外観はキズ・汚れが有りますが、特性さえ維持できていれば良いので性能本位という事で考えています。
2.識別のため「A」「B」とシールを貼っています。
■.1MHz〜101MHzの Log Mag S21特性(2台分)

1.比較しやすいように横800ドットに縮小しています。
2.「B」の方が70MHz以上の減衰量が5dBほど多いように見えますが、別の日に測定した影響かも知れません。。
■.1MHz〜501MHzの Log Mag S21特性(2台分)

・2台とも500MHz辺りまで-60dB以下の減衰量を維持しているのはさすがと思える品質です。
以上、参考として「RF Inquiry 社製の LP3K LPFの特性を測定してみた」だけの掲載となります。
追記:以下は勝手な想像になりますが、
RF Inquiry の製品に貼りつけてあるラベルには、本品であれば「LP3K/LP5K/LP6M 5K」と三種類の製品記述が有ります。
LP3K:ローパスフィルター(30MHz) 3KW
LP5K:ローパスフィルター(30MHz) 5KW
LP6M 5K:ローパスフィルター(50MHz) 5KW
と読み取れますが、特性を見てみないと対応周波数が分かりませんし、耐電力についてはこれだけでは販売時の情報が無ければ識別できません。
また、別の品では「CF5KL/CF250E/LP5K」というラベルも有ります。
CF5KL:コモンモードフィルター 5KW
CF250E:コモンモードフィルター 250W
LP5K:ローパスフィルター(30MHz) 5KW
これは、コモンモードフィルターとローパスフィルターを同じラベルで表記しており、「コモンモードフィルター」であれば水道用のVP管・VU管で仕上げてある外観から想像できますし、金属ケースに囲まれている形状なら「ローパスフィルター」と判断できますが紛らわしさが残るところです。
さらに、最近オークションでコモンモードフィルターらしき品とローパスフィルターらしき品を一括で出品されているページを見ました。
それぞれには、まったく同じ「CF5KL/CF250E/LP5K」のラベルが貼られており、商品説明には写真の品と型番を結びつけるような記述は無く、VP管・VU管仕上げの品は「コモンモードフィルター」だろうし、金属筐体の品は「ローパスフィルター」で多分LP5Kだろうなと想像しています。
せっかくかき集めたので重量を測ってみました。(軽い方から約)
LP3k 300g, CF-50MR 771g, LP5K 812g
| 7.RF Inquiry 社製のローパスフィルター追加 LP5K LPF の特性 |
前項(6)LP3Kの特性を確認していますが、それではLP5Kはどうなんだと気になり入手してみました。
本項は、単純にLP5Kの外観と特性を確認してみただけの記載になります。
■.RF Inquiry 社製 LP5K
LP3K比倍以上の重量が有り、アルミ対鉄の違いかなと思います。
■.1MHz〜401MHzの Log Mag S21特性(LP5K)
1.スイープ終了周波数を401MHzで記録しましたが、-60dB以下の特性の雰囲気はLP3KやCF-50MRと似ているようです。
2.これは測定環境によるものかも知れません。
(1)その他
大幅な改定・追記用