KiCADでPCBを作る(PSK-IF)
自作工程のメモとして
May.2014
Edit by SeaMonkey Composer.
1.回路を考える |
PSKやRTTYのインタフェースは、Web上に多くの情報が公開され、またメーカーの取扱説明書にも載っている機知情報であふれて います。
少しの手間を惜しまなければ、簡単にできてしまうほど簡単な回路構成になります。ここでは、以下の要件を取り入れて回路を書いてみまし た。
- 変調出力と受信音量を外部VRで調整できるようにする。
- 基板上には調整箇所を避け、外部配線で汎用性を持たせる。(Rig2台の切換等)
- PCとの接続はUSBを使用する。
- 現有RigアイコムのCI-Vを同じUSBケーブルで使えるようにする。
- 外注基板の規定サイズを意識した設計とする。(Max:10x10cm)
- PCとRig間の配線は絶縁する。
- CI-Vも絶縁した構成にする。
■ PSK-IF4i インターフェースの回路 アイコムCI-V用
*この回路ではCI-Vがうまく動作しないことが判明しました。
5項に CI-V回路の見直しを追記しました。(2014/06/29)
==> 見直し後の回路は、次のPSK-IF4iの組み立てに 掲載しました。
PCとのインターフェースは、秋月のFT2232を使いました。 しかしこの段階では入手していなく、PCBの設計完了と同時に発 注の予定です。
CI-Vは、以前に掲載のスクリュードライバーアンテナのコントローラの回路を、フォトカップラー用に変更して絶縁しました。
CI-Vの供給電流は、IC-7600MのCI-V端子をショート(電流計でアースに落とす)すると0.24mAしか流れず、 Highレベル時にフォトカップラーをドライブできないため、秋月のDCDCコンバータ(MAU102)を使っています。
DCDCコンバータを使うと逆にノイズが心配になり、入出力ともにチョークコイルを入れていますが、気休めかもしれません。
また、抵抗値等も一般的な数値を使い、最適かどうかは不明です。
2.KiCADによる基板設計 |
初めてPCB-CADに触れましたが、最初は何がなんだかわからない状況で教科書のトラ技の通り進めて行きます。
1日かければパターンの配置まではたどり着けますが、以下のイメージは回路の変更とともに何度もなんども繰り返し変更を加えています。
ここまでくると、『粘り強く操作するうちに分かってきます』というのが本当のようで、3週ほどの土日を費やせば何とかなるものだというこ とがわかりました。
フットプリントもドリル穴も最初は分からなかったのですが、なんども繰り返すうちに何となく理解できるようになりました。
■ フットプリントの作成
最初はトランスの取り付け穴を長穴にしてみましたが、コストアップとなりそうなので2.2mmの丸穴にしています。
■ KiCAD画面のイメージ (約95X65mmのサイズになりました)
回路上の境界線にもありますように、べたアースもRig側とTRX側で分離してみました。
■ Wings3Dで3Dイメージを作成
KiCADに含まれている3Dイメージを拡大・縮小して、上記画像の小型ドライバートランス(山水)やDCDCコン バータ(MAU102)を作成しました。
■ 3D画面
最初は、平面の確認でよいと思ったのですが、どうせならとトランス・DCDC(MAU02)・コンデンサ(足間 100mil&200mil兼用)などの3Dも作ってみました。
最初は狭いように思いましたが、こうしてみるともう少し基板サイズを縮小できると思います。しかし、実物を見るまでは、なんともいえませ ん。
3.Seeed Fusion PCB へ注文する |
発注のための記録は、現在(2017/06/27)と違うため、削除しました。
4.基板到着 20140531 |
基板の到着を待つ間に、25日・29日・30日とメールがseeedstudioより到着しましたが、31日(土)の昼に宅配便が届 きました。
日曜日発注の次の土曜日(6日間)には手元に届くとは、予想を裏切る?速さでの到着で驚いています。
もっと長くかかると思っていたため、部品やケース類を全部そろえていない状況ですが、素人目に仕上がりは良さそうです。
■ 到着の荷姿
■ 到着品
5.CI-V回路の見直し (2014/06/29) |
「1項 回路を考える」で最初に使った回路は何も考えず、他のPTT・RTTYやCW信号と同じような回路と定数で基板も作ってしま いましたが、組み立ててCI-Vの信号を確認すると波形が立ち上がりきっていません。
フォトカップラの周波数特性を考えていなく、汎用のフォトカップラでは、9600BPSのCI-Vは難しいことが分かりました。
■ 最初のCI-Vの波形(9600BPS)
そこで、汎用のフォトカップラをあきらめ、ネット上で調べたIC出力の高速タイプを探し、基板面積も決定済みのことから、TLP552の6ピ ンタイプのTLP513を梅澤無線電機で見つけ採用することにしました。
今度は、いきなり基板を起こすことはせず、ブレッドボード上で実験をしてデジタルオシロで波形を観測して定数を決定することにしました。
以下の回路は片方向だけですが、インプット(INPUT)側には、PIC12F675で19200BPSを想定した10KHz以上の方形波を 連続出力し、測定しています。
また、回路定数の内R15・R16は、当初ネット上で発見したアイコムの実機の回路図からコピーして、6.8Kオームと、33Kオームにして いましたが、 実測してみると出力側の負荷も違うため十分なドライブが出来ていないことが分かり、改めて事前の確認が大切だという教訓を得ました。
■ ブレッドボード上でフォトカップラをテスト
■ 以下は、回路・定数を見直した後
上記の回路の抵抗値を見直したときの定数と波形を参考に掲載します。
トランジスタは、2SA1015GRを使用しました。
◆最初に用意したネット上の回路を参考にした主な抵抗値と、プローブの位置
CH1
R14
R15
R16
CH2
[A]
470
6.8k
33k
[D]
入出力ともに正常な状態を示している。
◆TLP513に流れる電流をR14の位置で測定。
CH1
R14
R15
R16
CH2
[A]
470
6.8k
33k
[C]
TLP513に流れる電流は、CH1の電圧(1.6V)から換算して約3.4mAとなり少し足りない。
◆ベース側の抵抗を10Kに変更する。
CH1
R14
R15
R16
CH2
[A]
470
6.8k
10k
[C]
TLP513に流れる電流は、約6.8mAで推奨動作条件の最小値(6.3mA)を少し上回る。
◆上記と同条件で、R15を外してみる。
CH1
R14
R15
R16
CH2
[A]
470
-
10k
[D]
拡大レンジで観測すると、5uSほど出力の立ち上がりが遅延。
◆R15に当初の6.8Kを付ける。
CH1
R14
R15
R16
CH2
[A]
470
6.8k
10k
[D]
一つ前の遅延が2uSほどに改善する。
◆R15を2Kに変更する。(R15を1Kにすると、トランジスタがONしなかったため2Kに)
CH1
R14
R15
R16
CH2
[A]
470
2k
10k
[C]
ドライブ電流も、6.8mA程度は流れている。
◆R15を3Kオームに変更する。
CH1
R14
R15
R16
CH2
[A]
470
3k
10k
[D]
出力の立ち上がりが、1uSほどになるが、R15を1KにしたときにトランジスタがONしなかったので、R15 は3Kとする。
出力の立下りもほとんど遅延なし。
レンジを10uSに戻して全体を観察して、
波形は添付しませんが、この段階で[C]点の電圧は3.2Vあり、約6.8mAの電流が流れていることを確認しています。
99.追記用(予備) |