Top Page Arduino Mighty-1284p のPCB製作
自作工程のメモとして
25.Feb.2017


  Arduinoを始めてみようとしたきっかけは、昔作ったPICのコントローラがArduinoで代替できないかと考えたのが始まりでした。
しかし、一番多く出回っているArduinoUNOではI2Cを使ったとしてもI/Oピンが少なく、Megaを最初から購入していましたが、二階建てにできるとは言えボードのサイズが大きすぎると感じています。
そこでArduinoUNO程度のサイズで、I/Oピンもプログラムサイズも余裕があるATmega1284を使って、PCBを作ってみることにしました。
また、KiCad4.0.5の新しい機能や、今まで使ったことが無い表面実装部品についても、練習がてら使ってみることにしました。

続編: Mighty-1284p_Bootloaderの書込み を掲載しました。(2017/02/26)

続編: Mighty CW Keyer のケースへの実装 を掲載しました。(2017/05/24)

2018/11/13:現在 組立済み0セット 頒布終了しました。

基板到着後に組み立てた1号機です。



Edit by bluegriffon2.3.1(フォント指定を入れています。)
1.仕様と回路図

Arduinoは、回路やいろいろな情報が公開されているので、それを参考にさせていただき、Arduino Unoに近い形でATmega1284を載せることにしました。また、KiCadにはPCBのサイズやコネクタの位置まで準備されたテンプレートが用意されていることも、取り組みへのハードルを下げてくれました。


■ 目標
市販のシールドをそのまま載せられる汎用性と、自作コントローラ製作時も対応できる拡張性を実現する。

■ 概略仕様

1.できるだけArduinoUno の回路や部品に近づける。
2.COMは、入手性から表面実装のFT232RLを採用する。
3.ATmega1284も実装サイズの関係から、表面実装を採用する。
4.抵抗・コンデンサ・ダイオードは、組立時の紛失を避けるためスルーホール実装部品を使用する。
5.I/Oピンの配列は、Mighty-1284pのスタンダード配列を採用する。
6.拡張のI/Oピンのほか、I2C専用のピンも用意する。
7.頒布を予定し、手軽に組み立てられるようパーツ込みのセットを用意する。
8.表面実装部品もできるだけピン間の広いパッケージを採用する。(LM358MX 8SOP)
9.Arduino化のためのブートローダーは、Mighty-1284pを採用しました。(続編で・・)

■ 回路図


クリックで拡大(PDF)が表示されます。

2.基板設計

前項で書きましたように、基板についてもテンプレートが用意されているためそれに従いましたが、I/Oピンを拡張するためのコネクタースペースを確保するため、基板の外形を図右方向に(約5.1mm)広げて直線カットにしています。
部品レイアウトは、UNOに近づけようとしましたが、部品の大きさから無理をしない範囲で配置しました。

■ pcbnew画像


変な取付穴の位置も、微妙にずれたソケットピンの位置も最初から配置されていました。
拡張のソケットピンは、2.54mmの位置に合うように追加配置しました。

■ 3Dイメージ


抵抗やコンデンサのイメージは、一部を残して初期のイメージをWINGS3Dで縮小加工しました。
一番の難関は、FT232RL ピン間0.65mmの配線になります。
早速、より高い倍率の拡大レンズをNet上で探すのと、YouTubeのハンダ付け動画を見ながら基板の仕上がりを待つことにしました。


3.FusionへPCBの発注(2017年2月14日)

以前にFusionへPCBを発注したのは約2年前になりますが、KiCad4.0.5になってからは初めてで設定画面に躊躇してしまいました。
そこで、画面ショットを入れて記録しておきます。
参考にしたのはトラ技2016年7月号で、その中のFusionへの発注時の設定を参考にしましたが、一部省略されているところもありましたので、以前に発注したときのメモを頼りにしました。
また、KiCad4.0.5を使った他の方の発注メモをWeb上でうまく探せなかったので、FusionのホームページのQ&Aを頼りに処理をしました。
基本的にはFusionの仕様に変更はないようですが、そのうち、KiCadのバージョンが上がると、画面イメージが変わると思いますので、自分の覚えとして残しておきます。(2017年2月現在)
それと後で気づきましたが、発注の初期画面は日本語が選択できるようになっていました。
発注は一番安いデフォルト(2層両面・緑基板・板厚1.6mm)のままで発注したので関係ありませんが、次回は基板の色でも変えてみようかなと思いました。


■ 製造ファイルの設定


レイヤは、チェックした7項目のみで良いようです。このほかに次のドリルファイルの8ファイルを要求しています。
オプションの項目が以前と変更になっているようですが、2箇所のみにチェックを入れました。
ガーバーオプションは、@「Protelの拡張子を使用」にチェックをすることで、ほぼFusionの要求ファイル形式に沿った形で出力されます。
Aシルクをレジストで抜くは、2年前の発注時にはチェックを入れていませんでしたが、チェックしないとFusionにZipファイルをアップロードした後のビューでランド面にシルクが被さっていたように見えたので、チェックを入れました。

■ ドリルファイルの設定


ドリルの単位やファイルフォーマットは、トラ技2016年7月号(P.128)にinch指定とありましたが、以前の発注時に指定したmmを選択しました。(Fusionの仕様は単位:mm)
ただし、一度ドリルの単位をインチ・ドリルマップをPostScriptとして頼んでみましたが、問題なく出来上がりました。

■ ZIPファイルに圧縮する前の8ファイルのイメージ


@のファイル形式は変更前には gm1 でしたが、Fusionの指定形式 gml に変更しました。
Aの txt は、従来と同じように drl から、指定の txt に変更しています。
全体のファイル名は、揃えています。

■ KiCadのガーバービューア(GerbView)で見た上記の7ファイル(ドリルを除く)のイメージ


現在のハンダマスク設定で、0mm指定のままのため、ソルダーマスクがランドと同サイズになっています。
0.1mm指定の場合は、接近するランドに係るソルダーマスクが隣のマスクと引っついた状態に見えます。
以前から、0mm指定のため、このままとしました。

■ ここからは、FusionのWebページでのイメージです。

(1)FusionにZIPファイルをアップロードした後のWeb画面上でのガーバービューのイメージ


(2)FusionPCBが日本語化されましたので、以下に掲載していたの英語サイトでの手順は削除しました。(2017/11/13)





4.FusionからPCBの到着(2017年2月22日)

Fusionからは、約1週間で到着しました。実は今回の発注の前の週に1回発注していましたが、間違いが見つかったため到着前に修正版を発注しました。
2回とも翌週の同じ曜日かその翌日の配達になっています。


■ 到着したPCBの部分拡大写真


2回目ですが、FT232RLの25・26ピンがランド間でジャンパーされています。
いつも自動配線前に、主要なところは手配線で書き込むのですが、見落としてしまいました。
ハンダブリッジと見間違えますが、回路的には問題が無いので、このままとします。


5.Mighty-1284p-std1 の組立

今までチップ抵抗ぐらいはハンダ付けしたことが有りますが、ピン間 0.65mm の FT232RL が一番の難関で、その他44ピンのATmega1284P-AUもピン間 0.8mm となり、Amazonでハンダごてとこて先も新たに購入しました。
また、拡大鏡もホームセンターを覗いてみましたが、適当なものが無く、100均のスマホ台と手持ちの Nexus5 で代用することにしました。
私なりの組立手順を簡単に記録しておきます。

■ 組立準備(1)パーツ準備


今回は、上手く動けば残ったPCBを頒布品として配布する予定で取り掛かりました。
また、PCBだけの頒布では組み立てる側としては一から部品を集める必要がありますので、基板が届く間にパーツセットを10組作って、最初の組立からそのパーツセットを使うことにしました。
また、カラーコードやセラミックコンデンサの値を読まなくて良いように、4つの袋に分けて同じような形状のパーツを分離しています。(抵抗値によって袋を分ける等)

■ 組立準備(2)工具&ツール


手持ちのフラックスが濃い色に変化していたため、フラックスとフラックス洗浄剤も新品を揃えました。
作業の台は、不要になった木の板を使い、基板を固定するためのストッパーを木片で作り固定しています。

■ 組立手順(部品配置の参考イメージ)

 
1.最初にピン間の一番細い U2:FT232RL からハンダ付けします。( U2:FT232RL  ==>  IC1:ATmega1284p )
    この時点で、+5VとGND間の導通を確認する。(ショートしていないかをチェック)
2.次に個体としては一番小さいバリスタ(2個)をハンダ付けし、さらに少し大きな Q1:FDN340 と進めていきます。
3.表面実装部品のハンダ付けが終わったら、高さの低いコンデンサから順につけていきます。
4.LED は、 USB コネクタを付けた後に通電して、POW(W)  部の穴に仮に挿入してみると光るのでわかりやすいと思います。
5.8ピン・10ピンのソケットは、クリップ等で2つを挟みながらハンダ付すると、直線性が出て見栄えが少し良くなります。
6.I2Cの4ピンコネクタを基板上に用意しましたが、ピンソケットタイプがピンヘッダタイプか標準の扱いが分からないため、オス・メスの両方を準備しましたが、今回はヘッダタイプをハンダ付けしました。(*018/11/13:ピンソケット・ヘッダの記述を修正)
7.LEDの挿入方向は、基板正面から見て(上画像)四角のランド(左)がマイナス(-)、丸いランド(右)がプラス(+)となります。
(注)バリスタ RV1・RV2は、部品自体が小さいので、ピンセットで飛ばさないよう十分注意してください。


6.組立完了

組立は新しいハンダごてやこて先に少し戸惑いながらも、何とか完成することができました。
特に新調したハンダごては、110V仕様の安価な海外製品で、温度調節がついていましたが、電圧差からか温度が上がらず400度付近までダイヤルを上げてしまい、使いにくさを感じました。少し高価ですが国内メーカーのものが良かったかな?と感じました。
また、C型のこて先を初めて使いました。

2号機目は、使い慣れた国内メーカーのハンダごてと、別途購入したC型のこて先を使ってみようと思います。
慣れている人には何の問題もないと思いますが、温度管理の面もありYouTubeの動画のようにはいきませんでした。

これ以降のブートローダーの書込みとテストは、別のページで掲載いたします。


■ 完成写真




7.2号機の組立と変更点(2017/02/27)

 再現性の確認のため2号機を組み立ててみました。
通常使っているハンダごて(TQ-77)のこて先を2C型に交換しようとしたところ、標準品のこて先が固まっているため取り出すことができず、やむなくそのまま標準のこて先で作業をしました。
2回目なので速いかと思いましたが、組立終わるまで約4時間程度かかってしまいました。その後テストした結果で以下の修正をしました。

■ 2台の比較


左が1号機、右が2号機

(1)LEDの位置間違い
1号機では、上から見た目黄色く見えるLEDを D7(Y) の位置に挿入しましたが発色は白で、全体がうすい柿色に見える POW(W) の位置にあるLEDが黄色発色のLEDでした。
D7(Y) のLEDは、
紙テープがついているので、 と印を入れておきます。
手持ちの1号機のLEDの位置は、間違った状態のままとして、2号機から修正としました。

(2)LED 白の輝度が高い
白は常時発光する POW(Y) に 設定していましたが、輝度が高い(まぶしい)ため、直列抵抗(1K)を27Kに変更して取り付けました。
頒布のパーツセットには、回路上の 1K の他に 27K を追加で入れておきます。