Top Page ガルバニック アイソレータ(Galvanic Isolator)だけを作る
自作・実験工程のメモとして
09.Aug.2019


 タイトルが『ガルバニック アイソレータ(Galvanic Isolator)「だけを作る」』となっているため、違和感が有ると思いますが、これ以前に私の中で没になったテーマとして、「SDR Front-end」(仮)が有り、それに由来することになります。
私はRTL-SDRスティックも持っていますが、昨年秋にSDRPlay社の「RSP1A」を購入して、そちらを主に使用しています。
その関連で、Web上にも色々紹介されている「RF Limiter」「Galvanic Isolator」「1.8MHz H.P.Filter」「7.0-7.2MHz B.P.Filter」の4つを一つの基板に収めて、切り替えられるようにしようとして今年の冬に「SDR Front-end」(仮)に取り組みましたが、フィルターの特性が出ず失敗しました。

 その時に、「Galvanic Isolator」のトランスの手配をしようと、ミニサーキット社の「TC1-1TX+」を数個単位で分けてもらえる販売店を探して、香港の会社にも問合せをしましたが、5個でも送料等を含めると単価千円以上の価格となりあきらめました。
そこで、国内代理店経由で最小発注単位で注文して手に入れた関係で、「TC1-1TX+」が余ってしまいました。
そのような経緯から、余りものの「TC1-1TX+」を使って、上記4種の中では一番簡単な「Galvanic Isolator」だけでもと、作ってみることにしました。   


「RSP1A」に接続したGalvanic Isolator

ガルバニック アイソレータを入れた時と、外した時のウォーターフォール画像が取れれば良いのでしょうが、切り替えに時間がかかり変化が読み取れないため省略します。



Edit by bluegriffon3.0.1


1.ガルバニック アイソレータの回路とケース実装

 トランスが入っただけの簡単なものですが、裸の状態で使用すると埃まみれになるため、最初にケースを決めました。
ケースは、最初から左右に6mmの穴が開いているものが有ったため、あまり大き過ぎないものを選び取り寄せました。
後は、ケースに合わせて基板のサイズを調整していきましたが、ケース基準のため基板の余白が余り過ぎてしまいましたので、4か所に2.6mmの穴を開けてネジ止めもできるようにしています。


■.Galvanic Isolatorの回路
1.J1側がアンテナ(ANT)、J2側がRADIOを想定しています。
2.ANT側には、コンデンサを直列に挿入しておりますが、不要な場合はショートすればトランスだけの物体?となります。

■.Galvanic Isolator基板(表裏)

SMAコネクタのハンダ付けは少しコツが要るようで、芯線端子を先に付けた後、曲がり・PCBに対する平行度を確認し、その後アース端子をハンダ付けしました。

■.ケース実装を完了した状態のGalvanic Isolator
1.左右方向のズレ(誤差)は、0.1mm以内ぐらいに収まっていると思います。
2.右側(J2)のSMAプラグの穴は、6.8mmぐらい必要でリーマー又は6.5mmのドリル等で少し広げる必要が有りました。
3.ケースと基板裏面の間はすき間が有り、少し(回転方向に)動きますがそのままにしています。
4.固定したい場合は、基板の裏にスポンジでも入れるか、ホットボンドで台座を作れば動きは止められると思います。
5.ケース自体の大きさは、横:約49mm、縦:約27mm、幅:約15mm(各誤差有り)になります。



2.寄り道:失敗した「SDR Front-end」(仮)はどのような物だったか (記録として)

 失敗した「SDR Front-end」(仮)がどのような物だったかを、簡単に記録しておきます。
「RF Limiter」「Galvanic Isolator」「1.8MHz H.P.Filter」「7.0-7.2MHz B.P.Filter」の4つの機能を一つにまとめようとしたのが失敗の原因で、高周波の回路をデジタル的に詰め込み過ぎたのではないかと思いますが、2回ほど基板を作ってもうまくいかず断念しました。

■.「SDR Front-end」の外観イメージ

「RF Limiter」「Galvanic Isolator」はそのままですが、「1.8MHz H.P.Filter」と「7.0-7.2MHz B.P.Filter」はON/OFFできるようにしていました。

■.「SDR Front-end」の基板

1.「RF Limiter」の電球は高さが有るため基板の中をくりぬいて、ケース収納時の高さ制限を緩和させるようにしています。
2.FilterのON/OFFが無かったら上手くいったかも知れませんが、「1.8MHz H.P.Filter」と「7.0-7.2MHz B.P.Filter」が直列接続では、それぞれの意味が無くなることに成ってしまいます。

以上で、「SDR Front-end」(仮)は、ガラクタとして処分します。

3.Galvanic Isolatorの特性の確認

 PCBのサイズが40mm程度で、パターンとしての大きな減衰要素は無く、トランスの特性そのものが現れるものと予想できますが、周波数応答解析ツール(FRAT)で200MHzまでの減衰特性を確認してみました。
また、直流カットのコンデンサについても、容量ごとの特性を確認して最終値としています。

■.FRATのキャリブレーション

ガルバニック アイソレータは、SMAのプラグとジャックが付いていますが、外した状態で先ずは、SMAの(基板用)ジャック2つを背中合わせにハンダ付けした治具を使ってFRATの入出力を直結します。

■.ガルバニック アイソレータのFRATへの接続

1.キャリブレーション後は、先ほどの治具をそのまま使って、ガルバニック アイソレータを接続して実際の特性を確認します。
2.画像のNo1は、複数個作ってそのバラツキを見るための識別名です。

■.ガルバニック アイソレータの特性(No1)

1.「TC1-1TX+」のデータシートによると、1-100MHzの「Insertion Loss」は1dB、0.5-300MHzでは2dB程度(Typ.)なので、特に問題は無いと思います。
2.200MHz付近の落ち込みは、FRATの特性も影響しているかもしれません。

■.ガルバニック アイソレータの特性(No2-3)

一つ前のNo1と、こちらの2台を比較しても、大きな誤差にはなっていないようです。

■.ガルバニック アイソレータの低域特性(100KHz-2MHz)

画像のスペースが勿体ないので、4つの画像を合成しています。
1.0.01uFだけを接続した状態(一番上の図)では、高域(200MHzまで)は問題ない特性(画像省略)でしたが、100KHz〜2MHzの低域では少し容量が少ないようでした。
2.ただし、データシートによると、「TC1-1TX+」のFrequency Rangeは、400KHzから500MHzであり、400KHz部分で見れば規格内(3dB以内)です。
3.次に0.01uFを外すのが面倒なので、並列に1uF・4.7uFを付けてみると、どちらも最下部の「コンデンサをショート状態」とほぼ変わらない特性でした。
4.多分、1uFだけでも良いと思いますが、0.01uF・1uFの並列接続で使用することにしました。

■.ガルバニック アイソレータの低域特性(100KHz-2MHz)0.1uF
0.01uFと1uFだけ確認して、その中間の0.1uFを試していなかったので追記しました。(2019/08/18)
108KHz付近の減衰量が若干違いますが、個体のバラツキか測定誤差の範囲と考えます。


9.その他気づいたこと

(1)その他





99.追記用

大幅な改定・追記用