Top Page スイッチング電源ノイズの実験
自作・実験工程のメモとして
15.Apr.2022
(最終更新:2022/04/21)


 無線用途として今まで主にトランス式の電源を使ってきた関係で、世間一般に言われている『スイッチングノイズ』をあまり経験した記憶が無く、オークションで見つけた電源について実験してみることにしました。
きっかけは珍しい電源装置が出品されているのと、Net上でその電源に対して対策をされている方のblogを発見したことからで、同じように対策できれば安価に使うことができるかもと思ったことが始まりになります。
以下は、その時に実験した簡単な記録であり同じ結果になるかは不明ですので、もし同じようにされる場合は自己責任でお願いします。




入手したスイッチング電源 WENFA PS-25A

Edit by bluegriffon 3.1

1.本個体 PS-25A のノイズ発生の現状

 通常のアンテナを接続した使用状態では、外来ノイズと電源ノイズの区別が難しいと思います。
そこで、無線機へ同軸(約2m)を接続したままアンテナ切替スイッチ側でアンテナとの接続を「切る」状態で聞いてみると、それなりに「ノイズ」を確認することができました。
また、使用した機器はIC705で解像度の高いスコープ画面が役立ちました。

■.PS-25Aより電源を供給したときのIC-705画面

発生する周波数は、10MHzから14MHz辺りにかけて確認できました。
HAMバンド内では14MHZ帯が分かりやすいので以下はこの周波数帯を使用します。



2.一番効果のあった対策

 色々実験をしましたが、今回の私の環境と入手した個体の対策としてDC端子の出力にFT240-43材に2sq赤黒線をベタ巻するのが一番効果が有りました。
ACの一時側に対する処置もある程度の効果は有りましたが、画面上でわずかに確認できる程度のノイズ成分が残っているような状況でした。
出来れば一次側・二次側両方に処置をすれば良いのですが、コア材が高価な為一つだけとしました。


■.FT240-43コアに赤黒線をベタ巻

2sqの線材を巻くと12回が限度のようで、これより少ない9回も試しましたが、12回巻くのが安心できます。
W1JR巻も試してみましたが、効き目が殆ど感じられませんでした。

■.上記コアを入れた受信画面(アンテナ切替 OFF側)

アンテナを接続した場合の波形は下記の項で比較しますが、外来ノイズが入らない状態で確認するのが分かりやすいと思います。
また、電源を切り換えるタイミングにわずかですが時間を取られるため、アンテナを接続した状態では前の波形との比較が難しいと思われます。


3.アンテナの接続の有無を含めた比較

  比較対象は本電源と、トランス式のDM-104を使って実施しました。
電源を切り換える度に同じ条件で記録できるように心がけましたが、デジカメの位置がそれぞれ違う関係で写真の明るさにムラが有ります。
時計の部分を見ればわかりますが、アンテナを繋がない状態で、「トランス式」==>「スイッチング式」==>「スイッチングにコア取付」と切換、次にアンテナを接続した状態で先ほどの逆順をたどりました。

■.トランス式電源を使用したときの状況
「アンテナ無」は、アンテナ切替をOFF側にした状態で、「アンテナ」はAH4(非同調状態)に接続されたホイップに繋がっています。(以下同様)
アンテナを接続していない時はとても静かな状態で、ダイヤルを回してもビート音の出るところは殆ど無い状態です。

■.スイッチング電源を使用したときの状況
スイッチング電源のメインデバイスであるPRMコントローラ(TL494)の自励発振周波数が変動しているようで、斜めのウォーターフォールが確認できます。


■.スイッチング電源にFT240-43材のコアを入れたときの状況

多分これに一次側の処置も含めれば完璧?かとも思いましたが、実験はしていません。


4.本電源の回路構成について

 このPS-25Aの使用デバイスを確認するとT/I社のTL494が使われており、データシートも公開されていることから改造も可能と思われましたが、私にはハードルが高すぎて断念しました。


■.PRMコントローラTL494の辺り
クリックで フル画面が表示されます。
データシートによるとR45と*5ピンに繋がっているCで自励発振周波数が決まるように思えます。(訂正:2022/04/21)



4.その他の電源のノイズについて

 弁当箱タイプのスイッチング電源も入手する機会が有りましたので、上記と同じような条件でノイズを測定してみました。
大容量がコンパクトなサイズに収まっており、これでノイズ無しなら最強ですが、価格相応なノイズ発生状況となっています。
この個体だけの特性かも知れませんが、無線用途には専用の物が無難ということと思います。


■.弁当箱タイプのスイッチング電源(容量:600W-13.8V)
このクラスになるとファンが常時回転しており、実験後すぐに処分しました。


■.弁当箱タイプのスイッチング電源の状況
発振方式が違うのか、スペクトラムの出方が違います。




9.その他気づいたこと

(1)その他




99.追記用

大幅な改定・追記用