Top Page KURANISHI NT-636 を整備する
自作・実験工程のメモとして
27 Dec.2023
(最終更新:2023/12/27)


 ひとつ前のテーマで、YAESUのANTENNA TUNER FC-707の整備を掲載しましたが、チューナーだけで無くリグ側やアンテナの切換ができる機器が欲しくなり、オークションで標記のNT-636を落札してしまいました。
出品の説明には「部品取り・現状ジャンク扱い」、「POWER計に誤差あり」と有りましたので、最悪アンテナ切替器にでも利用できれば良いかと考え落札することができました。
 また、「POWER計の誤差」は前テーマの経験から「SWR/POWER検出のダイオード」の劣化ぐらいと想定して対象となるショットキーバリアダイオードを探しました。
そのダイオードがネットの情報から1SS108らしいことが分かりましたので、ネット検索で販売している店を探しまわり何とか入手することができました。

 本器の整備は、「SWR/POWER検出のダイオード」の交換が中心になり作業自体は簡単なものでしたが、良否判定で少し戸惑うことが有りましたので作業工程をメモとして掲載しておきます。


NT-636
SWR/POWER検出部の修理をした後のNT-636
SWR/POWER検出部は、左下の銀色カバーの下に有ります。

Edit by bluegriffon 3.1

1.回路図の書き出し

 クラニシの測定器のマニュアルは、ネット上で集めて公開されている方が居てとても役に立ったのですが、回路に関しては情報が見つけられずにいました。
そこで、それほど複雑でもない機器ですので回路を追いかけて書き出してみました。
実際には作業と前後してメモしてKiCadで書き出したもので、漏れ・誤りがあるかも知れません。

■.NT-636 NETWORK TUNER 回路図

クリックで拡大版(A4 pdf)になります。

2.POWER計の誤差修理

 文頭にも書きましたようにショットキーバリアダイオードの不良と当たりをつけていたので、ネット上で1SS108を探しました。
しかし、初めの良否判定で使ったLCR-T4の測定結果が想定外になり少し混乱しましたが、テスターを使った判定を追加して何とか処置できました。
 

■.処置前のNT-636と手持ちのRW-315A(ダミーで終端)を使って10Wを入力したときの比較
1.上のRW-315Aは10W近辺を指示しています。
2.一方、下のNT-636は約半分の5W近辺を指示しています。

■.SWR/POWER検出部の確認する場所
1.青〇部分のダイオードの片足を基板から外して特性を確認します。
2.左が一般に言うREF側で、右がFWD側になります。

■.ダイオードを測定したときの測定器の表示例
1.左の写真は、LCR-T4で端子の間に接続した1SS108ダイオードを測定したときの表示例で、ダイオードの記号が現れなかった表示例です。
2.真ん中は、同じものをテスターを出してきてダイオードレンジで測定した例です。
3.右の写真は、試しにテスターで逆方向も見て、通常はOL等の表示になるはずがFWD側だけ変な値を示していた例です。


■.本器のFWD・REF側1SS108ダイオードと、購入品や手持ちの1SS99を比較した表
No ダイオードの種類 LCR-T4 テスターA テスターB 備考
順方向Vf 逆方向 順方向Vf 逆方向
1 元NT-636のFWD側 2-3間 39p 0.151V 0.992V 0.233V 2.280V 不良品
2 元NT-636のREF側 2-3間 38p 0.168V .OL 0.270V .OL 良品か?
3 1SS108 購入品-1 2-3間 34p 0.149V .OL 0.232V .OL REF側に採用
4 1SS108 購入品-2 2-3間 34p 0.155V .OL 0.244V .OL
5 1SS108 購入品-3 449mV 0.150V .OL 0.223V .OL FWD側に採用
6 1SS108 購入品-4 511mV 0.156V .OL 0.240V .OL
7 1SS99 購入品-1 270mV 0.170V .OL 0.210V .OL
8 1SS99 購入品-2 283mV 0.173V .OL 0.215V .OL
1.テスターの「.OL」表示は、オーバーロードの略です。
2.最初LCR-T4の表示がおかしかったので、購入した1SS108も同じようになり購入品も不良なのかと焦りました。
3.No3から6までの4本の1SS108でも、LCR-T4で正常?に表示される品もあるようでそういうものかも知れません。
4.テスターAだけでは不安なため、もう一台のデジタルテスターBでも調べましたがNo1のFWD側のダイオード不良のようです。
5.処置としては、テスターAでの値が近い品(No3・No5)を交換用に割り当てて、FWD・REF側の両方を交換しました。




3.POWER計の調整

 POWER計の調整には手持ち品であるクラニシRW-315Aを使用しました。
このRW-315Aは2016年入手時に修理した後、測定したいときに引き出してきて使っている品で較正等はもちろん実施していません。
しかし、無線機の最近の無線機にある出力表示(%のバー表示)と比較しながら見ても、それなりの値を示していると感じています。
そのようなことから、RW-315Aを基準に合わせることにしました。
 また、50Wを超える出力の送信機は無く、フルスケールで確認をしていません。
50Wを最大電力として合わせていますので、その分の誤差は大きいと思いますが、メーターフルスケール時の精度もそれなりに有るためあくまでも目安と考えます。

■.大電力目盛で50Wに調整
50W機より50W出力
RW-315A 300W(上目盛)
NT-636 200W(上目盛)


■.大電力目盛で20Wを確認
50W機より20W出力
RW-315A 300W(上目盛)
NT-636 200W(上目盛)


■.小電力目盛で20Wに調整
50W機より20W出力
RW-315A 30W(下目盛)
NT-636 20W(下目盛)


■.小電力目盛で10Wを確認
10W機より10W出力
RW-315A 30W(下目盛)
NT-636 20W(下目盛)



■.小電力目盛で5Wを確認
10W機より5W出力
RW-315A 30W(下目盛)
NT-636 20W(下目盛)


SWRについてはダミーロードにてSWR=1.0付近に落ち着くこと。
ならびに、チューナーON状態で調整をずらしSWR=3.0付近にして、nanoVNAでも近い値を示すことを確認しました。




9.その他気づいたこと

(1)その他




99.追記用

大幅な改定・追記用