SWR Multi-step ダミーロードを作ってみる
自作・実験工程のメモとして
10 Nov.2024
(最終更新:2024/11/20) 高周波特性を補正しました。
あまり必要ではない物を無理やり作っている感はありますが、VSWR(以下、SWR)の代表値に合わせた負荷を自作してみようと思い取り組みました。
何故かというと、このまま捨てるのは勿体ない未使用部品が有り、今まで集めた部品を少しでも形にしようと思ったことと、この「自作・実験工程のメモとして」の掲載が目標の目途とした100回に近づいたことから早く一段落したいとの思いの両方からでした。
更には、ひとつ前の「DAIWA CNW-419 を整備する」の掲載で、100Ωのダミー抵抗を作りましたが、その時にこのテーマを想定して無誘導抵抗を多めに購入していました。
その事もあり、少しでも手持ちの部品等を使っておきたいと取り組んだテーマとなります。
1.切替えスイッチの銘板は、CADソフトで紙に印刷してラミネーターで表面を保護しています。
2.また、このロータリースイッチ(以下R-SW)は回転負荷が大きく軸が2点止のツマミで無いとすぐに緩んでしまいます。
3.そのためツマミのみ新たにマルツの通販で入手しました。
内部の平ラグは、25年以上も前の品と思いますが、ここで1枚活用することができました。
Edit by bluegriffon 3.1
使ったR-SWが2段,4回路,5接点のAmazonで入手したもので、それが前提となり入手済みの抵抗との組み合わせで4種類の組み合わせを検討しました。
次項に出てきますが、R-SWでアース側を切替えるか芯線側を切替えるか迷い、アース側を切替える方式にしています。
■.SWR Multi-step dummy lead の回路図
クリックで拡大版になります。(pdfファイル)
抵抗器にある程度の大きさが有り、レイアウトに困りましたが、どうにか平ラグ板の上に載せました。
作っているときからR-SWとの配線の長さが気になっていました。
結果的には「7MHz以下でのSWR値の目安にはなる」程度の出来で、満足できる特性ではありませんがこれで良しとしました。
■.R-SW周りの配線の様子
1.R-SWの接点容量が不明のため2組の接点を並列に使用しています。
2.この辺りも高周波特性へ影響しているかもしれません。
3.全抵抗は秋月電子の金属皮膜タイプ(3W)で、各ポジションの耐電力は10W以下となります。
■.Z=25Ω,SWR=2.0 時の特性例(7MHzでSWR=2.0195)
1.抵抗は一組(一段)のみの組み合わせでしたが、高い周波数に向けてSWRの特性が大きく変化しています。
2.以下も同様になりますが、7MHz以下で使用すれば何とかなるレベルかなと思います。
3.もう一つの活用方法は、アンテナチューナーの同調インピーダンス範囲を確認する用途に活用できるかも知れません。
■.Z=50Ω,SWR=1.0 時の特性例(7MHzでSWR=1.1004)
1.この SWR=1.0 の特性が一番見栄えが悪く、調整に使う時には単独のダミーロードを使った方が良いと思われます。
2.もしくは、3.5MHzや1.8MHzでならメーターの位置確認に使えるかも知れません。
■.Z=75Ω,SWR=1.5 時の特性例(7MHzでSWR=1.5258)
1.このSWポジションも高い周波数での特性が悪くなっていますが、7MHzぐらいならメーター位置の確認ぐらいには使えるかと思えます。
2.ただし、市販のSWRメーター等は全体のスケールから見た各SWR値の位置を示していますので、あまり意味の無いことかも知れません。
■.Z=100Ω,SWR=2.0 時の特性例(7MHzでSWR=2.0312)
1.このZ=100Ωは25Ωと同じSWR=2.0を示すところですが、高い周波数部分の特性はこちらの方が良いようです。
2.重ねてグラフを表現できれば良かったと思いますが、何れにしても悪い特性でありあまり意味の無いことと思います。
■.Z=150Ω,SWR=3.0 時の特性例(7MHzでSWR=3.0256)
1.このグラフはSWR値の最大が4.0に変更しています。
2.そのためか、比較的良い?特性に見えますが、このSWポジションが抵抗を最大に組み合わせた位置になります。
3.一般的なSWRメーターは3.0の位置までしか目盛りが無く、ここまでの組み合わせにしました。
■.試しに同軸の芯線側をR-SWで切替えた時の特性例
1.このグラフもSWR値の最大が4.0になっています。(設定戻し忘れ)
2.同軸の芯線側を切替えた時の方が高い周波数でのSWRが少し低いように見えますが、途中の特性が暴れておりこの結線は不採用としました。
■.R-SWを使用せず単独で抵抗を組み合わせた時の特性例 Z=100Ω
1.最後は、前項「
DAIWA CNW-419 を整備する」の掲載で使った臨時作成のダミーロード(100Ω)の特性です。
2.特性を優先するなら
R-SWを採用せず、一つひとつ切替える方式が良いということがこの確認からも知ることができました。
本器を製作した後、特に急いで使う機会もありませんでしたが、この高周波特性がどうにかできないかと考えていました。
別ページに掲載している DAIWA CNW-419 などは、内部配線を同軸ケーブルで実施しているわけでもありませんが、問題なく28MHzまで使えています。
そこで DAIWA CNW-419 や、それ以前に掲載した KURANISHI NT-636 の回路を確認して見ると信号経路に小容量のコンデンサーが挿入してありました。
そこで、本器も同じようにコンデンサーを挿入して補正をしてみることにし、当初7MHz程度の実用領域を30MHzまで拡大することができました。
1.大きな容量を必要としないはずなので、微調整のため2連バリコンを直列に接続しました。
2.このコンデンサーは、M型コネクターのところでは効果は無いようです。
■.NanoVNAで SWポジション=50Ω 時の特性例(ポリバリコン挿入時:31MHzでSWR=1.06)
1.ここ(50Ω)の特性を追い込むと、他の特性に少し影響が出るようで、ほどほどのところで止めておきました。
2.以前(前項)の測定では、SWR=1.5ほど振れていたのが、1.06ぐらいまで改善されました。
3.この時のポリバリコンの値を以下で測定していきます。
■.ポリバリコンを外して容量を測定するための前準備
1.この古い LCR-T4 はコンデンサーの測定下限が100pFぐらいのようで、数十pFぐらいでは反応しない時が有りました。
2.写真のように100pFとリード線を用意して、あらかじめ容量を確認しておきます。
■.準備した100pFとポリバリコンの合成容量を測定
必要容量は、39pF(140 - 101 = 39)となり、丁度 E12系列 に収まりそうな値となりました。
39pFは耐圧2KVの品を通販で入手して取り付けました。
■.補正前の各ポジションの値を一度まとめておきます
1.ここからは、H/WはNanoVNA-H4、ソフトはNanoVNA-Appを使用しています。(401ポイントの分解能が使えるため)
2.「Graph」ボタンを使うとグラフのグリッド部分のみファイル化されるようで、それをレタッチソフトの透過処理で重ねました。
■.39pF補正後 Z=50Ω 時の特性例(30MHzでSWR=1.037)
1.ポリバリコンを使って実験していた時よりSWR値が低くなっています。
2.余分な配線要素やケースに収めての測定で、安定度が増したようです。
1.ポジションの値を改めて取り直したグラフになります。
2.各ポジションでのSWR値は、5%以内の誤差に収まりそうです。
■.同じく補正後のZ=50Ω,SWR=1.0 時の特性例(30.1MHzでSWR=1.037)
1.こちらは、カメラマークのボタンを押して記録した画像です。
2.スミスチャートの所に出現する線も小じんまりまとまっている印象です。
(1)その他
大幅な改定・追記用