DAIWA CNW-419 を整備する
自作・実験工程のメモとして
28 Oct.2024
(最終更新:2024/11/11) 「チューナーOFFで受信できない」問題が発生し修理しました。
2023年末ごろに手動のアンテナチューナーを二機種ほどオークションで入手して試用レベルで使ってきました。
その二機種ともジャンクとして出品されており、外観の汚れとともに不良個所があり、幸い修理という作業を楽しむことができました。
それらは既に手元にありませんが、その修理の記録として自作・実験の紹介の「YAESU FC-707 を整備する」「KURANISHI NT-636 を整備する」に掲載しています。
そこで、今まで手にしたことの無いクロスメーターのアンテナチューナーに触ってみたく、オークションサイトを時々覗いていました。
そのような中、前2機種と同じジャンクでしたが、大手のストアーが扱っているDAIWA CNW-419の出品を見つけて落札することができました。
出品の説明には「動作未確認のジャンク」と有りましたが、ある程度外観がきれいに見えたのと、不具合があっても比較的簡単な回路構成のため前2例と同様に修理対応するつもりで入手しました。
手にしてみて外観もよい方の部類に入り、内部も密閉に近い構造のため目立った汚れも無い当たりの品を落札したと喜びましたが、残念ながら「50Ω負荷時に反射波側のメーターが振れる」不具合が見つかってしまいました。
原因は本器では無く、本当は整備不要だった可能性が高いのですが、手持ちのダミーロードが不良となるタイミングと重なり、原因究明が迷宮入りになりかけた整備の記録として公開しておきます。
入手時の外観は傷や汚れ等も少なく、キレイな部類に入るような印象でした。
内部はほぼ密閉状態ですので、見た目の劣化は少ないような状態でした。
Edit by bluegriffon 3.1
今まで入手したジャンクと表記したアンテナチューナーはマニュアルの無いものがほとんどでしたが、本品は取扱説明書と箱がついていた品で、その中の回路図が修理に役立ちました。
ネット上で検索しても英語版のマニュアルは有りましたが日本語の取説はヒットしなくて、添付されていることは有難かったです。
■.CNW-419 回路図(取扱説明書より抜粋)
クリックで拡大版になります。
箱・取説付きの品で紙の変色もありましたが、それに反して本器の汚れ等が少なく長期保管品だったのではないかと期待して動作確認しましたが、問題に突き当たりました。
この動作確認が夏真っ盛りの8月になり、その後の原因追及や各測定作業が暑さの中で取り掛かれず、10月中旬から本格的に取り掛かることになりました。
多分原因は今まで使ってきた古いダミーロードだったと思いますが、それに気づかずSWR検出部に手を出して遠回りをしてしまいました。
また、クロスメーターのSWR測定器を使ったことがなかったので、半信半疑で進めましたが、何とか復旧することができました。
■.50Ωのダミーロードを使って10W機でテスト中に発生した現象
1.20Wレンジの値を読むと、進行波側は10W程度を示していますが、ダミーを付けた状態で反射波側も振れています。
2.50Ω負荷に対して反射波側は0.8Wほど振れており、SWR1.7以上を示しています。
3.この指示値は、2W辺りまで振れることもあり不安定な状況が確認できました。
■.ダミーロードをテスターで確認したときは正常だったが、いつの間にか不良となり交換
1.永年使ってきたダミーロード(DL-30A)が不良かとテスターで確認するも50Ωを示し正常でした。
2.そのため何度も確認作業を実施している内に何度かテスターで再確認すると、50Ωを超える値を示すようになってきました。
3.最終的には、内部の接触不良かとM型プラグの芯線部をハンダ鏝で温めると完全にオープン状態となってしまいました。
4.多分最初に発生した現象の原因はダミーロードだと思われますが、その時点では次のSWR検出部のコンデンサ容量などをチェックに入っていたために断定できませんでした。
5.ダミーロードは新しいDL-50Aを購入ました。
■.SWR検出部
1.原因がわからなかったので、検出部の中で抵抗・コンデンサの値等を確認していくことにしました。
2.前 1項の回路図と同じ位置関係にある反射波(REF)の検出部(右側)の抵抗・コンデンサを一つずつ外して測定することにしました。
■.取り外したときに破損した200pFの修復部
1.チップコンデンサ(200pF)を外した時に片側の電極部が破損してしまいました。
2.200pFの手持ちが無いので220pFを付けましたが、トリマーコンデンサ(TC)で調整が取れず迷路に入ってしまいました。
3.しばらくそのまま放置していましたが、最終的に写真のように200pF(100p + 100p並列)を組み調整が取れました。
4.右側のSWR検出部の出力側には、100Ω抵抗x2本を並列にした50Ωの負荷を取り付け、検出部だけを取り出して作業をしていました。
■.調整後のダミー(50Ω)接続時のメーター指示値
■.SWR検出部の反射波用トリマーコンデンサ(TC)の調整
調整方法はNet上で検索して以下のように実施しました。
1.出力にダミーロード(50Ω)を付け、一番高い周波数(本品は28MHz)で調整を実施する。
2.チューナーはOFF状態にする。
3.調整口のシールを少しはがして高周波用絶縁ドライバーを用意する。
4.送信状態(CW)にして、反射波の振れがゼロになるようにトリマーコンデンサ(TC)を調整する。
50Ω負荷時の反射波のメーター指示値をゼロに調整した関係で、SWRが高い時の値が正しいかを確認してみました。
本器は、進行波の指示値はほぼ正確なようですので、20W/200Wの電力値やそれぞれの反射波側の調整ボリュームは最初から触らないよう気を付けてきました。
そのため、手持ちの関係で10W機での確認だけになりましたが、SWRが高い時の反射波電力を改めて確認しながら最終確認を実施しました。
■.インピーダンスによるSWRと反射電力の計算例
1.Net上の計算式を参考に、エクセル(私は、LibreOffice)に埋め込みました。
2.zip形式に圧縮したxlsx形式ファイルを
添付しておきます。
■.SWR 2.0 のダミーロード(100Ω)を準備
100Ω 3W の金属皮膜抵抗を4本使い、100Ωのダミーロードを作りました。
■.100Ω負荷時のメーター指示(疑似的SWR 2.0)
1.進行波側でちょうど10Wの時、反射波側で1.0W程度を指示しています。
2.計算上は1.11Wですが、定格誤差の範囲内なのでボリューム等は触らず確認完了としました。
4.問題発生(2024/11/11:チューナーOFFで受信できない) |
上記整備の後に、主に夜間の短波(ラジオNIKKEI)の受信をチューナーのON/OFFをしながら聞いていました。
そうしたら先日、突然にチューナーOFFで受信音が出なくなりました。
チューナーON時は聞こえるので切替えスイッチ部分の接触不良??かなと思い、Netの情報を参考に修理してみることにしました。
スイッチの接触不良と考えて分解していきましたが、本当の原因のハンダ付け不良まで発見することができました。
■.最初に原因として考えた奥側のプッシュスイッチ(以下、プッシュSW)の接触不良
1.Net上でプッシュSWの修理をブログに投稿されている方の情報をもとに取り掛かります。
参考にしたブログのタイトル:JHGのブログ「DAIWA アンテナチューナー スルー不良」tnx
2.事前準備として、現状の写真を色々な方向から撮っておきます。
■.今回のような作業には、蓄熱量の大きい昔ながらの半田ごてを使用
80Wの容量で温度の立ち上がりも時間がかかりますが、こて先が大きく十分な熱量が確保できます。
■.分解の途中
1.プッシュSWの取付金具を外せると前まで分解しました。
2.金具からスイッチを外さなくて良いとのヒントが前出のブログに有りましたので、できるだけ最小限の分解で進めます。
■.プッシュSWの分解清掃
1.白い可動接点部は、「バネをずらしてロックピンを外す」と此処でもブログのヒントが役立ちました。
2.左の白いスティック状の接点は、外れてばねを飛ばさないように気を付ける必要が有ります。
3.固定接点部は、少し潰した綿棒を無水エタノールに浸けて、出し入れしながら清掃します。
4.綿棒には、少し汚れが付くぐらいで汚れが酷いというほどでもありませんでした。
5.その後、組付けてSWR検出部分からの配線(白)と、コンデンサーの足をテスターで確認すると
導通が有りません。
■.プッシュSW部のはんだ付けを確認
1.目視でプッシュSWはんだ付けを確認すると怪しい部分が有ります。
2.コンデンサー(39pF)をアース側で外したので、偶然の復旧とはならなかったようです。
3.39pFのスイッチ側のリード線はスイッチの端子間を渡りで使用しているようです。
■.小型のUSB顕微鏡で撮った不良個所の拡大写真
1.左の写真が外側、右が内側(渡線側)より見た写真です。
2.太い錫メッキ線なら有りそうですが、少し細いコンデンサーのリード線で芋ハンダ(ヤニ付け)が発生しているのが意外でした。
3.この部分の修正以外も、はんだ付けの再確認と若干の手直しで修理完了となりました。
(1)その他
大幅な改定・追記用